[home]
 ■異臭を放す チョウセンマメハンミョウ  Epicauta chinensis  【ツチハンミョウ科】
 ツチハンミョウ科に属し,日本では対馬だけに見られる大陸系の昆虫です。 

対馬産は亜種 ssp.taishoensis で複眼の赤い部分が特徴となっています。 基亜種がどんな感じなのかネットで検索してみましたが分かりませんでした。 
ただ,(→) 「韓国産らしきサイト」は見つかりました。 ここに掲載されている個体は,上翅の縁に白い縁毛?らしきものを備えているので,一見して対馬産とは区別が付きます。 対馬産は一様に黒色です。 ただ,対馬産と同じ亜種名を使用しているので???です。
現在の対馬産と朝鮮半島産との亜種関係はどうなっているのでしょう。 

なお雌雄の区別は,♂の触角が第5〜7節が太くなることで区別は容易です。
▲チョウセンマメハンミョウ Epicauta chinensis taishoensis Lewis, 1879 2021.05.08 対馬市厳原町
▲♂の触覚は中央部が幅広く発達します  2005.05.30   ▲♀は♂より一回り大きく,腹部が太く見えます   2012.06.04
 
 ▲チョウセンマメハンミョウの♂ 2021.04.29 対馬市厳原町    ▲チョウセンマメハンミョウの♀ 2010.06.12


 
▲チョウセンマメハンミョウ Epicauta chinensis taishoensis Lewis, 1879 2013.05.31 対馬市豊玉町


 ■発生期と既産地
対馬では4月下旬(初見:24日)から6月下旬(終見:27日)頃にかけて発生しますが産地は局地的であり,これまで確認できたのはわずか4か所です。 
発生地では数年にわたり継続して見られる傾向があり,個体数も少なくありません。 ただあえて書きますが臭いです。かなり強烈です。 
標本にすると複眼後方の赤いチャームポイントが変色するのが残念です。
 
▲ワラビの若葉上の♂ 糞も見られたのでかじった可能性があります 2013.05.31 対馬市豊玉町    ▲おなかが膨らんだ♀ 卵が生成されているのでしょう  2010.06.05 対馬市豊玉町
 

   
 ■食餌植物
対馬での本種の生態については幼生期などを含め何も分かっていないのが現状ですが,成虫の食餌植物を4種確認してます。

1)ボタンヅル Clematis apiifolia (キンポウゲ科) 
既産地の全てにおいてタンヅルで成虫が見つかっていて,最も好まれているという印象を受けます。 発生地では多数が集まり,葉を囓っている様子や交尾個体を観察することができました。
本属の幼虫はバッタ類の卵塊を食べて成長し,同属のマメハンミョウEpicauta (Epicauta) gorhami の成虫は広範な植物を食べることが知られていますが,本種は思いのほか狭食性なのかもしれません。

2)イヌタデ Persicaria longiseta (タデ科)
恐らくタデ科のイヌタデであろうとのご教示いただきました(小宮氏,私信)。 発見時は10頭ほどが集まって盛んに葉を囓っていましたが,撮影を始めると気配を察知して徐々に分散していきました。

3)クズ  Pueraria lobata (マメ科)

4)ネムノキ  Albizia julibrissin (マメ科)
同所にはクズもありましたが,ネムノキに多く集まっていたことからネムノキの方がより好まれる傾向にあるのかもしれません。
▲ボタンヅルの葉を食べるチョウセンマメハンミョウ♂  2009.05.30 対馬市豊玉町 ▲イヌタデの葉を食べるチョウセンマメハンミョウ♂ 2014.05.22 対馬市豊玉町
▲クズの葉を食べるチョウセンマメハンミョウ♂ 2021.04.29 対馬市厳原町 ▲ネムノキの葉を食べるチョウセンマメハンミョウ♂ 2021.05.08 対馬市厳原町


 ■交尾
 ▲チョウセンマメハンミョウの交尾 Epicauta chinensis taishoensis Lewis, 1879 2008.06.14 対馬市豊玉町
 
 
 
チョウセンマメハンミョウ 2023.05.26 対馬市厳原町産    チョウセンマメハンミョウ 2023.05.26 対馬市厳原町産 
 
 ▲チョウセンマメハンミョウ♂  2021.04.24 対馬市厳原町産     ▲チョウセンマメハンミョウ♀  2010.06.05 対馬市豊玉町産
 




  

 ■資料画像・画像
▲チョウセンマメハンミョウ Epicauta chinensis taishoensis Lewis, 1879 2021.04.24 対馬市厳原町
右動画・・・この体型のチョウセンマメハンミョウが飛ぶのを見たときは驚きました。 画質は酷いのですが,証拠動画です。
▲クズの葉をかじるチョウセンマメハンミョウ 2021.04.29 対馬市厳原町 ▲飛翔するチョウセンマメハンミョウ 2010.06.07 対馬市豊玉町


▲チョウセンマメハンミョウ Epicauta chinensis taishoensis Lewis, 1879 2016.06.08 対馬市上県町
▲チョウセンマメハンミョウ 2016.06.08 対馬市上県町 ▲チョウセンマメハンミョウ 2016.06.08 対馬市上県町
▲チョウセンマメハンミョウ 2021.05.08 対馬市厳原町 ▲チョウセンマメハンミョウ 2021.05.08 対馬市厳原町
▲チョウセンマメハンミョウ 2021.04.09 対馬市厳原町 ▲チョウセンマメハンミョウ 2021.04.24 対馬市厳原町
▲チョウセンマメハンミョウ Epicauta chinensis taishoensis Lewis, 1879 2021.04.24 対馬市厳原町
▲チョウセンマメハンミョウ 2021.04.24 対馬市厳原町 ▲チョウセンマメハンミョウ 2021.04.24 対馬市厳原町
▲チョウセンマメハンミョウ 2018.05.20 対馬市豊玉町 ▲チョウセンマメハンミョウ 2018.05.20 対馬市豊玉町
 
チョウセンマメハンミョウ 2022.05.15 対馬市厳原町    チョウセンマメハンミョウ 2022.05.15 対馬市厳原町 
 
チョウセンマメハンミョウ 2022.05.15 対馬市厳原町    チョウセンマメハンミョウ 2022.05.15 対馬市厳原町 
 
チョウセンマメハンミョウ 2023.05.26 対馬市厳原町    チョウセンマメハンミョウ 2023.05.26 対馬市厳原町 
 
チョウセンマメハンミョウ 2023.05.26 対馬市厳原町    チョウセンマメハンミョウ 2023.05.26 対馬市厳原町 
     
     
     
     
     
     


▲チョウセンマメハンミョウ♂  2010.06.05 対馬市豊玉町産