ツシマシリアゲ

　■顔つきはエイリアン　 ツシマシリアゲ　　Panorpa thompsoni （＝ P.　tsushimaensis）【シリアゲムシ科】

日本では20種類上もいるシリアゲムシの仲間ですが，対馬はたった２種類しか記録がありません。　

「ツシマシリアゲ」と「チャマダラシリアゲ」なのですが，この２種の関係も微妙でチャマダラシリアゲはヤマトシリアゲの秋に出る第２化（季節型）と考えられています。　
正式な研究結果の公表が待たれます。

ただその場合，学名的にはチャマダラシリアゲ（P. thompsoni ）が先に記載されているので，ツシマシリアゲの学名（tsushimaensis )は採用されないことになります。　学名から対馬が消えるのは残念ですが，和名はツシマを残してほしいものです。

シリアゲムシは古生代ペルム紀の化石が見つかっていて，非常に原始的な昆虫といえます。　頭部の馬面と♂腹部末端のサソリのような形態はユニークです。


▲ツシマシリアゲ　Panorpa tsushimaensis Miyamoto,1979　第１化の♂　腹部末端をサソリのように持ち上げています　　2014.06.13　対馬市美津島町

▲ツシマシリアゲ　第１化♂　　2009.04.29　対馬市上県町		▲第１化♀　♀は腹部が太いが，尾端に向かって急激に細くなります　　2006.05.28

▲ツシマシリアゲ　第１化♂　2012.05.06　対馬市上県町		▲ツシマシリアゲ　第１化♀　2012.05.06　対馬市上県町

年２回発生します。第１化は，４月下旬（4/27）～６月下旬（6/22）　　第２化は，９月下旬（9/19）～１１月上旬（11/9）　の記録があります。　第１化は体色が黒色，第２化は褐色になります。　♂交尾器の形状はサイズ以外大きな違いが無いということですので，同種で間違いないでしょう。

▲チャマダラシリアゲ　Panorpa thompsoni Cheng, 1957　第２化の♀　葉上で翅を上下に動かす動作を繰り返していました　おそらくコーリングでしょう　2011.10.09　対馬市上県町

▲チャマダラシリアゲ　第２化♂　2010.09.25　対馬市豊玉町		▲チャマダラシリアゲ　第２化♀　　2011.10.09　対馬市上県町

▲チャマダラシリアゲ　第２化♂　2011.10.09　対馬市上県町		▲チャマダラシリアゲ　第２化♀　2009.10.11　対馬市峰町


▲ツシマシリアゲ　第１化　2012.05.05　対馬市上県町		▲チャマダラシリアゲ　第２化♀　2011.10.09　対馬市上県町

▲基本は肉食ですが，訪花し吸蜜する姿を見ることができます　　2012.05.06		▲シャクの花で吸蜜　　2012.05.06　　　葉上の第２化♀　　2011.10.09


▲ツシマシリアゲ　Panorpa tsushimaensis Miyamoto,1979　2016.05.01　対馬市豊玉町


▲ツシマシリアゲ♂　　2009.05.05		▲チャマダラシリアゲ♂　　 2010.09.25　対馬市豊玉町産

シリアゲムシは♂が♀に餌をプレゼントする習性があるのですが，まだその機会に出会えていません。　　いつか…。