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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 2014.08.22 対馬市厳原町 |
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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 2014.08.22 対馬市厳原町 |
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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 2017.08.30 対馬市厳原町 |
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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 2017.08.30 対馬市厳原町 |
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▲ ヒメスズメバチ対馬亜種 Vespa ducalis esakii Sonan, 1935 2017.08.30 対馬市厳原町 |
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対馬産ヒメスズメバチの腹部末端節の個体変異について |
佐賀昆虫同好会誌「佐賀の昆虫」55・56合併号に,対馬産ヒメスズメバチの変異について報告しました。主な内容は以下のとおりです。
対馬にはオオスズメバチ,コガタスズメバチ,キイロスズメバチ,ヒメスズメバチの4種の在来Vespa属が分布していますが,その中でヒメスズメバチが亜種となっています。
対馬亜種ssp. esakii Sonan, 1935の最も顕著な特徴は「腹部末端節が黒色にならず,黄色を呈すること」です。また,体色も全体的に黒色部が減衰傾向にあり,前胸背板でも黄色部が発達する傾向が見られます。
つまり,本土域で他のVespa属と区別するポイントである「腹部末端が黒色であればヒメスズメバチである」が対馬産にはあてはまらないことになます。近接する朝鮮半島(原名亜種ssp. ducalis )も日本本土域(日本本土亜種ssp. pulchra)と同様に腹部末端節は黒色であり,両別亜種に挟まれた対馬個体群のみに,このような変異が現れるのは興味深いことです。
ヒメスズメバチ対馬亜種の拠りどころである「腹部末端の黄色部」に変異が認められることが分かり,調べてみることにした。 |
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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 腹部末端節が黄色い個体 |
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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 腹部末端節が黒い個体 |
▲ヒメスズメバチ対馬亜種 Vespa ducalis esakii Sonan, 1935 腹面の様子 2017.08.26 |
そこで腹部末端節を中心に腹部末端3節の黒化の程度を次の5つのグレードに分けて,その個体数を調べました。
[G1] 腹部末端節の全面が黄色で覆われるもの
[G2] 腹部末端節のごく一部に黒色部が見られるもの
[G3] 腹部末端節が黒色で,その中に黄色部が分離して見られるもの
[G4] 腹部末端節の全面が黒色で覆われるもの
[G5] 腹部末端節及び第5節までにも黒色が広がっているもの |
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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 Vespa ducalis esakii Sonan, 1935 |
採集地は島内13地点で(厳原町:4,美津島町:1,豊玉町:5,峰町:0,上県町:2,上対馬町:1),総採集個体数95頭を検することができました。その結果を各段階の頭数を表にまとめ,段階別の全体に占める割合をグラフで示しました。
対馬亜種の特徴である腹部末端節がほぼ黄色(G1+G2)になったのは,全体の60%強でした。
しかし,黒化しているが極わずかでも黄紋が確認できたG3が30%弱も占めたことや,腹部末端節が完全に黒くなる個体(G4+G5)が10%近くもいたことは予想以上の結果でした。
このことから,対馬産の腹部末端節の黒化には連続性が認められることが分かりました。完全に黒化した約1割の個体も遺伝型や突然変異で生じたものではなく,個体変異の範疇と考えられます。
今回の調査でG4+G5が採集できたのは3地点のみ(久田:7/36個体,豆酘:1/9個体,仁位:1/8個体)でしたが,腹部末端節が完全に黒くなる個体は島内全域で見られるのではないかと思われます。
まとめると,「ヒメスズメバチ対馬亜種の腹部末端節の色彩には黄色〜黒色まで連続した変異が見られるが,黄色部がかなり高い割合で出現する個体群である。」ということがいえます。ここでは,亜種の妥当性については言及を控えたいと思います。 |
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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 Vespa ducalis esakii Sonan, 1935 |
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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 Vespa ducalis esakii Sonan, 1935 |
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■資料画像 |
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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 Vespa ducalis esakii Sonan, 1935 2017.08.30 対馬市厳原町 |
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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 Vespa ducalis esakii Sonan, 1935 2017.08.30 対馬市厳原町 |
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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 2017.08.30 対馬市厳原町 |
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▲ヒメスズメバチ対馬亜種 2017.08.30 対馬市厳原町 |
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