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■♂性標が特徴の大陸亜種 ウラナミジャノメ Ypthima multistriata ganus 【タテハチョウ科】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2004年から数年間の一時期,個体数が激減して心配されましたが徐々に回復してきています。 流石に以前の状況にはほど遠いので すが一安心といったところです。 この時期はタイワンモンシロチョウなど多くのチョウが減少したのですが,原因は解明されていません。 さて,対馬産は大陸の方の亜種にくくられ,本土の亜種とは分けられています。 標準図鑑には,「・・・・対馬に産するものは♂の前翅表の発香鱗条の発達が強く,中国大陸,朝鮮半島産と同じ亜種 ganus Fruhstorfer,1911 とされる。・・・・」と書かれています。 |
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【資料】 対馬産ウラナミジャノメの周年経過について | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
過去の記録(もちろん把握している範囲)を見直してみました。 このうち周年経過に関わることについて言及している報文として, ●浦田,60f ”…年2回の発生で6-7月,8-9月にわたり出現する。” ●川勝・垂井,58b ※1955.8.26の観察として ”あきれるほど沢山いる” ●福田など,72 ※1971.9.4 有明山の緑色型の蛹を図示 ●藤岡,72 ”対馬では1化が6月,2化は8月中〜9月上旬に出現するが,有明山山頂(558m)などで7月末に新鮮な個体が得られることもあり,このような地では年1化も混じっているものと考えられる。” ●山口・浦田,65 ”6月−7月,8月−9月の2回に多産する。 ●小檜山,72 ”出現期6月中旬〜7月上旬と8月下旬〜9月上旬の年2回発生だが,7月頃の年1回も混じるようである。” ●平尾,68 ※9月初めの観察として ”本州において比較的少ないホシチャバネ,ウラナミジャノメが居るわ,居るわ。ジャノメといえばウラナミ・・・という感じ” ●堀田,68 ※1967.8.22の観察として ”ウラナミジャノメも多い。” ●戸高,62b ※1961.8.9の観察として ”ウラナミジャノメが多かった” ●中谷,74 ※1973.6.17採集の母蝶からの飼育記録 ”6.8産卵 6.27孵化 7.25前蛹 7.26蛹化 8.5羽化” ●江島,74b ”8月22日,…交尾個体を…有明山で発見した。” ●浦田,77e ”出現期は5月上旬から10月までで特に第2化のものはその個体数も多いが…” ●江島・境,78 ”年4回 5中(20)→6,6中(20)→8,8下→9,9下→10下(24)” 採集観察データを月ごとに見てみると, ・5月上旬 × ・5月中旬 ○ ・5月下旬 ・6月上旬 ○ ・6月中旬 ○ ・6月下旬 ○ ・7月上旬 ○ ・7月中旬 ○ ・7月下旬 ○ ・8月上旬 ○ ・8月中旬 ○ ・8月下旬 ○ ・9月上旬 ○ ・9月中旬 ○ ・9月下旬 ○ ・10月上旬 ○ ・10月中旬 ○ ・10月下旬 ○ このように6月から10月にかけて切れ間なく記録があります。 藤岡の指摘のように有明山のように年1化の混じる可能性ですが,有明山の記録をピックアップすると, 5/20(少数目) 6/16(2♂) 7/6(1♀) 7/19(2♂1♀) 7/21(4♂5♀) 7/29(3exe.) 8/4(1♂) 8/6(1♀) 8/10 8/22(交尾個体) 9/4(蛹) 9/29 などがあり,藤岡の指摘は妥当性に欠けるようです。 対馬の場合,発生の端境期が明確でないので周年経過を特定するのは非常に難しいです。 11月上旬(記憶では3日),今羽化したと思われるような個体を見たこともあります。(未発表) 通常,6月中旬からの発生で産卵から羽化まで2か月として, ・第1化 6月中旬から7月下旬にかけて発生 ・第2化 8月中旬〜9月下旬にかけて発生 ということになるのでしょうか? 感覚的には年2回という感じはないのですが,それだけ発生間隔が長いといえます。 |
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■資料画像 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
▲ウラナミジャノメ大陸亜種 Ypthima multistriata ganus Fruhstorfer,1911 2020.08.08 対馬市厳原町 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
▲ウラナミジャノメ大陸亜種 Ypthima multistriata ganus Fruhstorfer,1911 Ypthima multistriata ganus Fruhstorfer,1911 2020.08.08 対馬市厳原町 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
▲ウラナミジャノメ大陸亜種 2018.06.06 対馬市厳原町 | ▲ウラナミジャノメ大陸亜種 2015.10.13 対馬市厳原町 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
▲ウラナミジャノメ大陸亜種 2016.05.27 対馬市厳原町 | ▲ウラナミジャノメ大陸亜種 2016.05.27 対馬市厳原町 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
▲ウラナミジャノメ大陸亜種 Ypthima multistriata ganus Fruhstorfer,1911 2015.06.12 対馬市豊玉町 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第2化は8月中旬頃から始まりますが発生がダラダラと続くこともあり、第3化が疑われたこともあります。この個体は♂です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
▲ウラナミジャノメ大陸亜種 Ypthima multistriata ganus Fruhstorfer,1911 2022.08.31 対馬市厳原町 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||