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 ■年1化 早春に現れる  トビネシャチホコ  Nephodonta tsushimensis  【シャチホコガ科】
トビネシャチホコは,対馬で採集された個体をもとに新種記載されました。
シャチホコガ科の新属・新種の珍しい蛾でしたが,その後中国でも亜種が記載され,同属の別種も発見されています。

1982年,大図鑑(講談社)が出版された当時は,タイプ標本しか記録がありませんでした。 1976年春,小学生が美津島町昼ケ浦で採れた1頭の蛾を持ってきてくれたのが本種との出会いでした。

年1回,3月上旬から4月上旬にかけて出現し,灯火によく飛来することが分かりました。 全島的に広く生息していると思われます。
 ▲トビネシャチホコ Nephodonta tsushimensis Sugi, 1980 2013.03.08 対馬市厳原町
 
▲トビネシャチホコ ♂の触覚は両櫛歯状  2005.03.03 対馬市上県町    ▲トビネシャチホコ ♀の触覚は糸状  2005.03.09 対馬市上県町 
 
▲トビネシャチホコ ♂は前翅基部付近に鳶色の斑紋が出る 2005.03.03 対馬市上県町    ▲トビネシャチホコ ♀は♂に比べて斑紋が不明瞭 2013.03.08 対馬市上県町 

 
   
 頭部から胸部にかけてモフモフ感がすごい。 
▲トビネシャチホコ Nephodonta tsushimensis Sugi, 1980 


 
   
トビネシャチホコの飼育記録 2005年
 2005年3月9日,上対馬町結石山(Mt.Yuishi)で採集した母蛾より採卵飼育したもの…。 

これまで4令までの記録はありましたが,その後の記録は新知見です。(2005年現在)

卵期はおよそ10日前後。 これは外気温が関係してるので自然状態ではブナ科(推定)の植物が芽吹く時期に合わせていると考えられます。 幼虫期およそ1か月程度。 自然状態ではもっと短いかもしれません。 昼間より夜間によく餌を食べようです。 終令幼虫は蛹化が近づくと,食欲旺盛となります。
 
 ▲トビネシャチホコ タッパーに生み付けられた卵 2005.03.16 対馬市上県町産   ▲トビネシャチホコ 孵化直後の初齢幼虫 2005.03.26 対馬市上県町
 
▲トビネシャチホコ 2005.04.10 対馬市上県町     ▲トビネシャチホコ 2005.04.17 対馬市上県町
 
 ▲トビネシャチホコ 亜終齢 2005.04.21 対馬市上県町   ▲トビネシャチホコ 終齢幼虫の頭部 2005.04.25 対馬市上県町 
▲トビネシャチホコ Nephodonta tsushimensis Sugi, 1980 シャチホコガの幼虫らしく,頭部を反り上げています  2005.04.25 対馬市上県町 

蛹化は,土や小石,枯れ葉などでくるまるように繭を作り,その中で前蛹になります。 繭を作って1週間ほどで蛹になります。
 
▲トビネシャチホコの繭 細い糸で綴られているいるのが分かります 2005.05.08    ▲トビネシャチホコ 蛹化直後の蛹の様子 2005.05.05 対馬市上県町 
▲トビネシャチホコの蛹  2005.05.05  対馬市上県町
飼育にあたってはPhasmidさんのご支援を頂きました。謝意を表します…。      
 

 
   
▲トビネシャチホコ Nephodonta tsushimensis Sugi, 1980 成虫 ♂♀ 



  






 ■資料画像
▲トビネシャチホコ Nephodonta tsushimensis Sugi, 1980 2021.02.03 対馬市上県町
▲トビネシャチホコ 2020.02.26 対馬市厳原町 ▲トビネシャチホコ 2020.02.26 対馬市厳原町