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 ■朱色が粋な感じ クロバネクビボソハムシ Lilioceris ruficollis (Baly)  【ハムシ科】
ハムシの中でも比較的大きなクビボソハムシの仲間です。 前胸背部が鮮やかな朱色をしています。

日本にこの属は10種ほど生息していますが,このクロバネクビボソハムシとカタモンクビナガハムシは対馬だけに生息する大陸系の昆虫です。
国外では極東ロシア,韓国,中国に分布する。

本種の寄主植物についてはTakizawa(1980)が韓国での記録としてDioscorea sp.(ヤマノイモ属)を,更に滝沢(2006)では朝鮮半島での食草としてヤマノイモ類を示したが種名までは挙げられていませんでした。
その後,Park et al.(2012)はヤマノイモ属の一種キクバドコロDioscorea septemioba Thunbの他にナガイモDioscorea batatas DecneとヤマノイモDioscorea japonica Thunbを寄主植物として報告しました。
対馬ではヤマノイモ属の植物が5種記録されていますがキクバドコロは分布していません(邑上,1985・中西,2015)。従って5種のいずれかを寄主植物としていることは予想していましたが,ナガイモ,ヤマノイモ及びニガカシュウでは確認できなかったものの,オニドコロとカエデドコロの2種を寄主植物としていることが明らかにまりました。

▲クロバネクビボソハムシ Lilioceris sieversi (Heyden, 1887) 雨上がりにオニドコロの蔓を歩く  2011.06.20 対馬市厳原町
 
 
 ▲クロバネクビボソハムシ オニドコロの蕾に乗る 2011.06.21 対馬市厳原町   ▲クロバネクビボソハムシ 2011.06.20 対馬市厳原町 
 
▲クロバネクビボソハムシ 2011.06.20 対馬市厳原町     ▲クロバネクビボソハムシ 2012.06.01 対馬市厳原町
 
▲クロバネクビボソハムシ 2013.06.22 対馬市厳原町     ▲クロバネクビボソハムシ 2013.06.22 対馬市厳原町

▲クロバネクビボソハムシ Lilioceris sieversi (Heyden, 1887) 2020.09.16 対馬市美津島町
 
   
確認できた出現期は比較的長く,越冬明けの5月中旬(22日)〜新成虫の9月中旬(16日)ですが,同属のカタモンクビナガハムシと同じように年1回の発生だと思われます。

今後は幼生期の解明に期待したい。
 
 ▲クロバネクビボソハムシの交尾  2006.06.17 対馬市上県町   ▲クロバネクビボソハムシの求愛行動? 2012.06.01 対馬市厳原町 
 

 
   
▲クロバネクビボソハムシ Lilioceris sieversi (Heyden, 1887) 2016.07.29  対馬市厳原町産 ▲クロバネクビボソハムシ Lilioceris sieversi (Heyden, 1887) 2016.07.29  対馬市厳原町産





 

 ■資料画像 
▲クロバネクビボソハムシ Lilioceris sieversi (Heyden, 1887) 2013.06.22 対馬市豊玉町
▲クロバネクビボソハムシ 2017.07.02 対馬市美津島町 ▲クロバネクビボソハムシ 2017.07.02 対馬市美津島町
▲クロバネクビボソハムシ Lilioceris sieversi (Heyden, 1887) 2017.07.02 対馬市美津島町
▲クロバネクビボソハムシ 2018.06.04 対馬市厳原町 ▲クロバネクビボソハムシ 2020.08.25 対馬市厳原町
▲クロバネクビボソハムシ Lilioceris sieversi (Heyden, 1887) 2020.05.22 対馬市厳原町
▲クロバネクビボソハムシ Lilioceris sieversi (Heyden, 1887) 2020.05.22 対馬市厳原町