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対馬産チョウ類の概説   (2024.1.29一部改訂

記録公表の重要度 個体数 (記号の意味) 変異 (記号の意味)
     普通 +++ 多く見られる A 亜種として区別できる
++ 比較的普通に見られる 地理的変異が顕著
      やや重要 少ない C 地理的変異が軽微
D 変異は認められない
重要 −− 非常に稀 不明
  きわめて重要 −−−  野外絶滅の可能性が高い    
迷  蝶 発生歴 (記号の意味) ※変異はあくまで主観です。
   (お遊び程度に・・・・)
ほぼ毎年発生
散発的な発生があった
× 発生が確認された記録がない
不明
疑問種・絶滅種 同定の誤りか他地域から混入したと考えられる種,または虚報
絶滅した思われる種

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土着種 個体数 変異 ひとことコメント
セセリチョウ科 8種
1 ミヤマセセリ −− 早春のチョウ。遅いものは6月上旬まで生き延びる。近年激減したが原因は不明。
2 アオバセセリ 6月、エゴノキでも姿を見なくなった。 かなり減少。
3 キバネセセリ −− 採集記録は非常に少ないが全島に広く分布すると思われる。夕刻活発に活動し室内へも侵入する。
4 ホシチャバネセセリ −− 近年激減。全島的な記録の集積と調査が望まれる。
5 ホソバセセリ 近年減少傾向。
6 キマダラセセリ 対馬産は小形という指摘有り。
7 チャバネセセリ 近年減少。
8 イチモンジセセリ +++ 普通に見られる。
アゲハチョウ科 10種
9 ジャコウアゲハ −−− 朝鮮半島産と同系統の亜種? 産地は上対馬町の北部地域のみ。豊玉町の記録があるというが不可解。
シカによる食害(食餌植物アリマウマノスズクサ消滅)のため絶滅状態…。
10 ミカドアゲハ 分布域を次第に拡大。対馬産は青味が強く、後翅裏面は赤斑型。
11 アオスジアゲハ +++ 普通に見られる。
12 キアゲハ −−− 対馬産の夏型♀は著しく黒化する傾向がある。山頂以外で見ることは稀である。2023年,10数年ぶりに1♀を確認。
13 アゲハ ++ やや普通に見られる。
14 クロアゲハ 近年減少。過去に2回、無尾型が得られたことがある。
15 ナガサキアゲハ 分布域を次第に拡大。豆酘地区でのミカン栽培の影響と思われる。個体数は頭打ち状態
16 モンキアゲハ ++ 普通に見られる。
17 カラスアゲハ ミヤマカラスより遙かに個体数は少ない。
18 ミヤマカラスアゲハ ++ 春型でも後翅裏面の白帯消失傾向にある。夏型特に♂は大変美しい。
シロチョウ科 7種
19 (キタ)キチョウ +++ 普通に見られる。対馬産をシロウズキチョウとし別種として扱う見解もある。
20 ツマグロキチョウ −− カワラケツメイの減少とともに個体数も激減。
21 モンキチョウ ++ 普通に見られる。早いもので2月中旬から発生。
22 ツマキチョウ 早春のチョウ。山間部では普通に見られる。対馬産は大陸亜種で本土産とは別亜種。
23 モンシロチョウ ++ 普通に見られる。
24 スジグロシロチョウ −− まれに山間部で得られる。特に、上県町伊奈、志多留、中山付近は可能性あり。2023年確認。
25 タイワンモンシロチョウ −−− 2009年確認できたのは1例のみ。詳しくは「対馬の昆虫情報」に記載。野外絶滅の危機的状況にある!
シジミチョウ科 20種
26 ムラサキシジミ 近年かなり減少。年に数頭しか見ない。
27 ムラサキツバメ −− 近年ほとんど姿を見ない。
28 アカシジミ - 全島に広く分布していると思われるが、個体数は多くない。
29 ミズイロオナガシジミ 全島に広く分布している。小さなコナラ林でも発生していることがある。別亜種の意味?無いと思う。急激に減少している。
30 キリシマミドリシジミ =yohbo=をこの道に走らせることになったチョウ。対馬産は全国区。
31 ウラジロミドリシジミ 海岸部のカシワ林に発生。豆酘崎・大船越・卯麦付近など。
32 オオミドリシジミ −− 近年減少。美津島町大船越では最近ではほとんど見かけなくなった。
33 トラフシジミ −− 第1化の個体数激減。さらに2化はほとんど採れない対馬ではネムノキが主食草なのに不可解。
34 ベニシジミ ++ 普通に見られる。
35 ゴイシシジミ 近年減少。出会うとなぜかホッとする。
36 クロシジミ 絶滅? 非常に少ない。有明山は絶滅。上県町目保呂・上対馬町舌崎で記録がある。1981年上対馬町豊の記録以降確認されておらず、絶滅の可能性が高い。
37 シルビアシジミ  絶滅? 1970年代を最後に姿消す。各地のミヤコグサ群落を探索するも再発見できない。 
38 ヤマトシジミ +++ 普通に見られる。
39 ルリシジミ ++ 普通に見られる。極まれに気になる個体が得られたことがあった・・・・。
40 ヤクシマルリシジミ 2004年7月19日に豆酘崎1♀が採集される。2009年現在,完全に定着した。ここ数年,侵入初期より個体数を減じている。
41 サツマシジミ −− 非常に少ない。有明山・豊玉町和板・豆酘崎・内山で得たのみ。
42 ツシマウラボシシジミ 絶滅? 激減。 生息環境の著しい悪化によって姿を消してしまった。野外絶滅の危機的状況にある!
43 ツバメシジミ 広く産するが個体数は多くない。
44 クロツバメシジミ ++ 局地的だが、全島に広く分布。白岳山頂・竜良山山頂でも見られる。
45 ウラギンシジミ かなり減少。対馬産秋型は前翅端が尖るというが、本土産と差異はない。
マダラチョウ科 1種
47 アサギマダラ 秋口に観察することが多い。移動ルートの興味はあるのだが・・・・。
タテハチョウ科 20種
  テングチョウ  ++ 食樹はエノキと思われる。 
48 ウラギンスジヒョウモン 近年激減。原因は不明だが野生のすみれの減少が一因と思われる。かつては5月のアザミに群がっていたのだが。
49 ミドリヒョウモン 近年減少。本土産との違いを指摘する声もあるが、特段感じられない。
50 クモガタヒョウモン −− かつてはヒョウモンチョウ類の中では個体数が最も多かった(ツマグロを除く)が急激に減少。
51 メスグロヒョウモン 近年激減。♀の美しさは格別。
52 ツマグロヒョウモン +++ 普通に見られる。
53 コミスジ 減少した。対馬産の夏型は非常に小形。
54 ミスジチョウ 局地的に分布。上県郡に産地が多い。本土産と指摘されるほどの差異はない。
55 キタテハ ++ 普通に見られる。
56 ルリタテハ 個体数はそれほど多いものではない。
57 ヒメアカタテハ +++ 普通に見られる。
58 アカタテハ ++ 個体数はそれほど多いものではない。
59 イシガケチョウ ++ 1984年初記録。近年急激に分布を拡大。侵入当初は爆発的に個体数を増したが次第に落ち着いてきた。
69 スミナガシ 局地的に分布。個体数も少ない。
61 ゴマダラチョウ 対馬産春型は白化傾向にあることで有名。食樹はエノキ。2023年、姿を見なかった。
62 ウラナミジャノメ ++ オープンランド的環境に適応。対馬産は別亜種とされる。個体数激減したが次第に復活。
63 ジャノメチョウ 有明山・上県町千俵蒔山のみに分布。千俵蒔山は野焼きの復活とともに消滅した。
64 クロヒカゲ 個体数は明らかに減少傾向にある。
65 ヒメジャノメ 薄暗い環境を好む。対馬産は本土産に比べて黒化傾向にあるとの指摘あり。
66 クロコノマチョウ 近年急激に分布を拡大。はじめに得られたのは1970年代である。
迷蝶 発生歴 ひとことコメント
1 タイワンアオバセセリ × 1976.9.18 美津島町鶏知(焼松) 1♂の記録が初。2004年小集団の飛来があった。 
2 オキナワビロウドセセリ × 1975.7.23 上県町佐須奈で1♂の記録1例のみ。
3 シロオビアゲハ × 2005.7.22 厳原町豆酘多久頭魂神社付近で1♂が採集される。
4 オナガアゲハ × 1998.10.5 上県町佐須奈1♂と豆酘での記録2例のみ。
5 ホシボシキチョウ 1970年豆酘・峰町櫛で発生。最近の記録はない。カワラケツメイの減少が原因か。
6 ウスキシロチョウ × ほぼ毎年飛来が見られるが、発生が確認されたことはない。
7 オオモンシロチョウ × 1998年上対馬町で1♂、上県町で1♀が採集される。発生はなかった。
8 チョウセンシロチョウ × 1996年10月19日1♀の記録がある。大陸からの飛来であろう。
9 ウラナミシジミ 5月上旬頃に飛来。越冬が確認された記録はない。
10 オジロシジミ 散発的に飛来。数回の発生が確認されている。(記録された食草はアズキ)
11 ルリウラナミシジミ 1985年に豆酘崎で大発生。その年、豊玉町大綱まで北上した。1996年・2007年・2009年小規模発生。
12 タッパンルリシジミ × 厳原町厳原(阿須川:海抜0b)と1991年厳原町浅藻での記録2例のみ。
13 スジグロカバマダラ 1969年に豆酘崎で大発生。その後も散発的に記録される。1988年に小規模な発生あり。
14 カバマダラ 対馬では近年よく観察されるようになった。小規模な発生の可能性がある。
15 ツマムラサキマダラ × 豆酘での記録がある。
16 ウスコモンマダラ × 豆酘・大船越での記録がある。2005年初夏,小集団の飛来有り。多数採集される。
17 コモンマダラ × 松倉慶明2005 対馬でコモンマダラとウスコモンマダラを採集 蝶研フィールド229
18 ガランピマダラ × 1997年豆酘で1♀の採集が報告されている。
19 タイワンアサギマダラ × 1991年7月6日厳原町豆酘崎1♀の記録がある。
20 クジャクチョウ 1998年上対馬町志多留で4頭採集される。一大事件であった。
21 アオタテハモドキ 迷蝶の常連客。一番早い記録は6月21日。発生を繰り返していることは確実。
22 タテハモドキ アオタテハモドキに比べると採集例が非常に少ない。
23 メスアカムラサキ 迷蝶の常連客だったがここ数年なかなか渡ってこない。原因は不明。
24 リュウキュウムラサキ 迷蝶の常連客。♀の変異だが、最近はフィリピン型を見なくなった。
25 ヤエヤマムラサキ × 1969年に1♂、1970・1972年に2♂採集された。
26 ヒオドシチョウ × 有明山で採集された記録がある。
27 ウスイロコノマチョウ 毎年飛来し発生を繰り返しているが、越冬の可能性は現在のところない。
疑問種・絶滅種 ひとことコメント
1 ダイミョウセセリ (疑)過去1度記録される。その後の確実な記録はない。
2 コキマダラセセリ (疑)日浦論文に登場(1976:対馬の生物)。最近、この報文の基となる標本が発見・報告されたが多産地混入の疑いが排除できない。
3 オオチャバネセセリ (疑)古い記録がある。注意を払っているが、30年以上の観察でも1度も目撃すらできない。
4 クロセセリ (疑)豆酘で2例の記録があるがラベル等から多産地混入の疑いを排除できない。
5 ヒメウラナミシジミ (疑)他産地の混入か、あるいは虚報。
6 オオウラギンスジヒョウモン (絶)60年代末までは生息が確認できた(厳原町有明山1♂)。絶滅したと思われる。最近の記録があるらしい。(伝聞)
7 ウラギンヒョウモン (疑・絶)古い記録はある。同定は確かなものかやや疑問。絶滅したと思われる。
8 オオウラギンヒョウモン (疑・絶)古い記録はある。同定は確かなものかやや疑問。絶滅したと思われる。
9 ヒメウラナミジャノメ (疑)過去、有明山で記録されたものは明らかに他産地のものの混入であり誤報であろう。

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